※上記QRコードを読み取っていただきますと、一般の携帯からは携帯サイトが、スマートフォンからは、スマートフォンサイトが閲覧可能です。
リンゴ病とは、「ヒトパルボウイルスB19」というウイルスに感染することで起こる感染症です。頬がリンゴのように赤くなることからこの病名で知られており、正式には「伝染性紅斑」と呼ばれます。ヒトパルボウイルスB19に感染すると、10~20日の潜伏期間を経て、顔の両頬に紅斑、体にレースや網目状の赤い発疹が生じます。さらに続けて腕や足にも、同様の発疹が現れます。発疹は赤みが強く、周囲との境界がはっきりするという特徴があります。
一般的には重症化せず、小児の間で流行するリンゴ病ですが、大人が感染すると、頭痛・関節痛などの症状が現れることがあります。また、女性が妊娠初期に初めて感染した場合には、胎盤を通して胎児にも感染し、流産や死産、赤ちゃんに浮腫みが生じる「胎児水腫」になるリスクがあるため、注意が必要です。
リンゴ病の原因は、ヒトパルボウイルスB19です。
ヒトパルボウイルスB19は、主に飛沫感染か接触感染によって感染が広まります。
幼稚園・保育園や小学校など、小児が集団生活を送る場所で流行しやすいですが、リンゴ病に一度感染すると、通常は免疫ができるため、二度目以降の感染ではほとんど症状は出ないとされます。
ヒトパルボウイルスB19に感染すると、感染後10~20日後に両頬の紅斑が、続いて体にレース・網目状の真っ赤な皮疹といったリンゴ病の症状が生じます。皮疹はその後、腕や足にも左右対称に広がっていきますが、痛みや痒みの症状は伴いません。多くの場合1週間ほどで自然に消えていき、痕も残りません。
ただし、リンゴ病の発疹の症状が現れる1週間ほど前に、鼻水や喉の痛み、37℃台の微熱、倦怠感など、風邪のような症状が出ることがあります。これらの症状にも特に治療は必要なく、自然に改善していきます。
一方、大人が初めてヒトパルボウイルスB19に感染すると、頭痛や関節痛などの症状が生じる場合があります。特に妊娠初期は胎児に影響を及ぼすことがあるので、注意が必要です。
リンゴ病の原因であるヒトパルボウイルスB19に対する抗ウイルス薬などは、残念ながら現在のところ開発されていません。リンゴ病には、症状を和らげるための対症療法が行われます。
皮疹が生じる前に起こる喉の痛みや発熱症状には、解熱鎮痛剤などを用いた薬物療法を行います。初期症状は軽いか、もしくは無症状のことがほとんどのため、多くのケースでは自然に治るとされます。
頬に皮疹が生じる段階のリンゴ病は、ほぼ感染する心配はありません。最も感染リスクの高い、ウイルスの多い時期は、皮疹が生じる前の風邪症状のある時期ですが、リンゴ病の診断が下されるのは皮疹が出てからなので、感染を避けるのが難しいウイルスです。もしも周囲でリンゴ病が流行していることが判明したら、特に妊娠初期の人は、子供がたくさん集まる場所を避ける、こまめに手洗いをするなどの感染対策をしましょう。
まるやま皮膚科クリニック 院長 丸山隆児