江東区東砂の皮膚科|まるやま皮膚科クリニック

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ヘルペス

ヘルペスとは

「ヘルペスherpes」とは、そもそもヒトの皮膚に小さな水ぶくれが密集した形の発疹を指す医学用語ですが、一般の方が「ヘルペス」と呼んでいるのは、「単純ヘルペス(単純疱疹)」と呼ばれるウイルス性の皮膚病のことです。原因となる単純ヘルペスウイルスは、皮膚や粘膜から感染し、知覚神経に侵入して体内に定着・潜伏します。日本人の70~80%が単純ヘルペスウイルスに感染していると言われているほど頻度の高い疾患で、知覚神経の内部に潜伏したウイルスは、身体の免疫力や抵抗力が低下した際に再活性化して症状を発現します。日常生活で行動を共にする機会の多い家族やパートナーなどの間で感染することが多いというのが特徴です。

ヘルペスの原因

ヘルペスの原因は、単純ヘルペスウイルスです。単純ヘルペスウイルスには1型(HSV-1)と2型(HSV-2)があり、どちらのウイルスもヒトの皮膚・粘膜に感染しますが、HSV-1の主たる感染部位は口とその周囲、HSV-2の主たる感染部位は陰部とその周囲、という違いがあります。単純ヘルペスウイルスは、皮膚や粘膜の直接的な接触以外に、食器やタオルを介してうつることもあります。また一度感染してしまうと、ウイルスが知覚神経の内部に定着・潜伏し、生涯にわたって体内に残ったままとなります。こうして体内に宣布したウイルスは、過労やストレスなどによる免疫力の低下等を切っ掛けとして再活性化し、症状の再発をおこすことがあります。

ヘルペスの症状

単純ヘルペスウイルスが感染する部位により発現する症状も異なります。

<口唇ヘルペス>
口唇ヘルペスは唇や口の周りに、ピリピリ、チクチクといった違和感がでて、部分的に赤く腫れあがります。その1〜3日後に5mmまでの小さい水ぶくれがいくつかあらわれます。水ぶくれがかさぶたになり、皮膚が完全に再生するまでに2週間ほどかかります。口唇ヘルペスの原因となるHSV-1は、乳幼児期に家族から感染することが多く、症状がほとんど現れないような不顕性感染もみられますが、時には重症化して,皮膚以外に歯肉炎、口内炎を起こしたり、発熱やリンパ節の腫れを生じたりすることもあります。

<性器ヘルペス>
性器ヘルペスは陰部、臀部に起こるヘルペスです。男女ともに性器や肛門にむずがゆさがあらわれます。その後、痛みとともに小さな水ぶくれが生じます。初感染は性交渉によることが多く、しばしば激しい症状を惹起して高熱とともに所属リンパ節が腫脹し、排尿や歩行が困難になることもあります。再発を繰り返すうちに症状は軽くなることがほとんどです。

<カポジ水痘様発疹症>
コントロール不良のアトピー性皮膚炎をもった患者さんでは、ウイルスの皮膚感染が広範囲に拡大し、重症化する可能性がありますので注意が必要です

ヘルペスの検査と診断

ヘルペスの症状は見た目にあらわれるので、問診と皮膚症状の所見から診断します。
発疹が典型的でない場合には、確定診断のためにヘルペスウイルスの抗原検査を実施することがあります。ヘルペスニより生じた小さな水ぶくれやただれた部分から検体を採取し、その症状がヘルペスウイルスによるものかそうでないかを、その場で確認することができます。

ヘルペスの治療

かつては塗り薬タイプの抗ウイルス薬が主流でしたが、海外で薬剤耐性ウイルスが問題となり、内服薬による治療が主流となりました。内服薬には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがあります。
1年に3回以上も再発を繰り返すような患者さんには、痛みやヒリヒリ感などのヘルペスの前兆を感じた時点で、自己判断にてファムシクロビルを内服する治療方法(PIT療法)が保険適用となりました。あらかじめ処方された薬剤を保存しておくことができますので、該当する症状のある方には大変すぐれた治療方法です。
腎臓の機能に障害のある方、妊婦さんなど内服治療が適さない場合には、外用薬を現在でも使用しています。

ヘルペスの日常生活上の注意

  • 免疫力の低下により発症するので、まずは体の免疫力、抵抗力を高めることが大切です。疲労やストレスをため込まないようにすることや、肌にストレスのかかる強い紫外線には注意が必要です。また、肌ケアと疲れケアに効果的なビタミンB群を採取できる食材を選ぶなどの栄養バランスの良い食事をすることが大切です。
  • 風邪をひいた時などに、ビタミンを壊すことがあるタバコやアルコールは控えるようにしてください。
  • 感染力が非常に強いので、患部に直接触れることを避けるのはもちろん、患部に触れたタオルや歯ブラシなどの洗面用具は他人に使わせないようにしてください。もし、患部に触れてしまった場合は、石鹸による手洗いでウイルスを除去することができます。また、性器ヘルペスの場合は、性交時にコンドームを使うことで感染のリスクを低下させることができますが、100%予防できる方法ではないので、発症している間は性交渉を控えた方がよいでしょう。身近な人同士の感染が多いので、家族やパートナーへの思いやりを大切にしてください。